『うつ病との区別』



 *うつ病と間違いやすい病気はたくさんある

 自己診断の結果、うつ病の可能性がかなり高いと思ったとしても、必ずしもうつ病であるとは限りません。
うつ病以外で、うつ状態をまねく身体の病気はたくさんあるからです。
 よって、医師は診断に当たって、まず身体そのものに病気があるかどうかを確認します。
血圧測定,尿・血液検査,X線撮影などの一般的な臨床検査によって、 身体そのものにできた病気を除外していきながら、診断を進めていく場合が多いです。


 身体の病気がうつ症状を招いているのか、うつ病が原因で身体の症状が出ているのかによって、 治療法はまるで違うものとなります。
 例えば、身体の病気でうつ症状の原因となるものとして、膵臓病,脳腫瘍,痴呆症などが挙げられます。
その他に、心臓病,高血圧,胃潰瘍など様々な病気がうつ状態をもたらす場合があります。


 さらに、うつ病と区別しにくい病気として、『更年期障害』,『痴呆症』,『不安障害』などがありますが、 これらはうつ病との区別が特に難しく、見極めには専門医の診断が必要となります。


*『更年期障害』とうつ病との区別はつきにくい

 更年期は、中年期にさしかかった女性の閉経前後、人によって差はありますが、 年齢でいえばだいたい50歳前後の時期をいい、その時期に起こりやすい身体の変調を「更年期障害」といいます。
 この時期の女性は女性ホルモンのうち、卵巣ホルモンの分泌が減少します。
その結果、顔面の紅潮,のぼせ,ほてり,発汗,月経異常,動悸,不眠,頭痛など多くの症状をかかえやすくなります。
症状には個人差があり、程度の軽いものから重いものまで、あらわれ方も様々です。

 また、更年期に特有の心の変調として、憂うつ感や気分の落ち込みなどの症状があらわれますが、 このうつ状態が本当に更年期障害によるものであれば、時間が経過することによって治まることもありますし、 積極的にホルモン療法などを行うことによって、改善してゆきます。
しかし、更年期のうつ状態がまさしくうつ病そのものであるケースも少なくはありません。

 それに気付かずに、『更年期にうつ状態はつきもの』という先入観で、適切な治療を行わずに放置しておくと、 当然のことながら、うつ病はますます悪化していきます。
 もしうつ病なら、治療法は更年期障害とは異なります。
正しい診断に基づき、抗うつ薬などのうつ病の治療を受けることで、すみやかな回復が望めるのです。


*うつ病と『老人痴呆症』を間違えると大変なことになる

 誰でも年をとると、脳の働きが衰えていくものです。
それが廊下にともなって、病的なもの忘れや記憶障害,人間や場所に関する見識障害など、 脳に病理的な変化が起こっていると考えられるものを「老人痴呆症」といいます。
「ボケ」は、脳の生理的な変化にともなって起こる老人特有な症状ですが、このボケがうつ病によって起こったというケースも 少なくなく、この両者の区別がなかなかつきにくいのです。

 お年寄りは、行動範囲が狭くなる傾向にあり、親しい者の死などに直面することも多く、 自分の老い先などを考えて、ふさぎ込んでしまうことも多いようです。
 そうした暗い気持ちが降り積もり、次第に日常生活に無関心になり気力も衰え、うつ病に移行してしまいます。
また、お年寄りは何らかの病気をもっていることが多いため、治療で疲れてしまったり、 長期間にわたる薬の服用がもたらす副作用により、うつ症状が出てしまうこともあります。

 お年寄りのうつ病は、生命力の低下や頭の働きの鈍化が目立つので、一見、痴呆症のようにも映ります。
このため、老年期のうつ病を「仮性痴呆」とよぶこともあります。
 症状のみをみると、「ボケたのではないか」と周りも本人も思いがちですが、痴呆症の場合は「自分はボケた」という 自覚はありませんし、「自分を責める」こともありません。
両者の違いを早期発見し、いずれの場合であれ適切な治療を受けることが必要となります。


*『不安神経症』はうつ病に似た心の病

 心の病のなかでうつ病と区別しなければならない病気がたくさんあります。
その代表的なものが「不安神経症」です。
 不安神経症がうつ病と根本的に異なる点は、文字どおり症状の中心が「強い不安にある」ということです。

 不安という現象は誰にでもみられるものですが、不安神経症の場合、他の人からみれば何ということのない些細な事柄にも 強く不安を感じてしまい、心理的な苦痛が極端に強くなってしまってしまう状態が続きます。
 身体に震え,動悸,冷や汗などの症状があらわれ、ひどい場合には発作に襲われます。
この発作が恐ろしい経験になり、また、発作が起こるのではないかという不安をよびおこし、 そして、実際に発作を起こしてしまいます。
この悪循環に陥ることが、不安神経症の最も厄介な点です。

 不安神経症になる人の性格は、うつ病特有の「真面目で几帳面」というよりは、「神経質で内向的」といえます。
また、身体に出る症状には、動悸,呼吸困難,ふるえ,めまい,吐き気などがありますが、 体重減少などはあまりみられません。
 治療法はうつ病とは異なり、用いられる薬剤は抗うつ薬ではなく、抗不安剤になることが多いです。


 ここまで、「うつ病との区別」について書いてきましたが、心の病とは非常に難しいものであり、 複数の心の病を併発している場合も多いので、自己診断はあくまでも目安とし、専門医に診察してもらい今後の治療法など 話し合うことで、早期治療へと向かうのではないでしょうか。


                 −お問い合わせはこちらまで−

                         (気軽にご相談ください)


                          TOPページへ戻る





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送