『心理学の発展』



 今日在る心理学がどのようにして発展してきたかを、歴史的に眺めていくことにします。
今日研究されている心理学は、過去においてデカルトDescarts,R,(1596〜1650)や、ライプニッツLeibniz,G,W,(1646〜1716) などの哲学者たちが、人間の「心」や「意識」という問題について研究したのが始まりです。
それ以前、、古代ギリシャの哲学者アリストテレスAristotelesのの頃にもすでにその一端が見られています。
アリストテレスの頃といえば、紀元前380年のことですが、大体、心理学的な形としてはデカルト,ライプニッツの頃から だといえます。

 その頃はまだ心理学というより哲学的な色彩が濃く、一般に哲学者の主観によるところが大きかったようです。
その後、次第に哲学的な形から経験的な心理学の必要性にせまられ、18世紀においてヴォルフWolf,ch,(1679〜1754), カントKant,I,(1724〜1804)によって、経験的心理学がとなえられるように至りました。

 しかし、その頃は精神に知,情,意という三方面の能力のあることを認めた心理学の研究段階でした。
一方、英国のヒュームHume,D(1711〜1776),ミル父子Mill,J.and J.S.(1773〜1836,1806〜1873)によって、精神の現象を 観念という要素にまで分析するに至った。
特に、この研究段階として用いられた「観念連合の法則」は、あらゆる人間の精神的な現象を、 この法則によって説明しようとしたものでした。

 この「観念連合の法則」によって、さらに、様々な法則が生み出されていきました。
これらの法則によって、あらゆる精神現象を説明しようとしたものが、ヒュームなどの研究段階でした。
 主として、英国のハートレーHartley,D.(1704〜1757),ヒュームHume,D,ミル父子,ベインBain,A.(1818〜1903), スペンサーSpencer,H.(1820〜1903)たちの連合心理学はその代表的なものです。

 しかし、これらはいずれも科学以前の心理学に過ぎず、今日のような科学的心理学は19世紀の中頃から発生したものです。
それは、ヘルムホルツHelmholz,H.(1821〜1894),ヘーリングHering,E.(1834〜1918),フェーベルWeber,E.H.(1795〜1878), フェヒネルFechner,G.TL.(1801〜1887)たちの研究に負うものです。

 大体、1860年頃が科学的心理学の発生した年として一般に認められています。
1879年ヴントWundt,W.(1832〜1920)は、ベルリンの西方ライプチヒに世界最初の研究所を設けました。


 今日、一般心理学の研究は非常に広範囲にわたり、また、深く研究されるに至りました。
その主な一般的な考えとしては、次のものが挙げられます。

   1. 心理,生理的活動の科学
   2. 行動の科学
   3. 人格の科学
   4. 個体と環境との関係科学
   5. 生活改善、社会福祉増進の科学

 このような立場から考えられ研究されていますが、いずれにせよ、『心理学は人間性を理解しようとする学問である。』という 一語につきると考えられます。
 ウッドウォースwoodworth,R.S.,ギルフォルドGuilfourd,J.P.は心理学を「人間の活動、特に精神的活動をその環境との 関係において研究する科学である」と言っています。
また、マクドゥガルMcdougall,W.,ダシールDashielは「人間性を認識し、了解しようとする科学である。」と言っています。


 そこで、人間についての心理研究ばかりではなく、動物を対象としての心理的な研究も進められていき、 人間と一般動物との心理的共通点などを捜し出し、人間本来の動物性を究明しようとした研究が盛んになりました。
 特に、ローレンツLorenz,K.Z.はその著書「ソロモン王の指輪」において、種々の動物の状態を深く観察して発表しました。
このように動物の心理的な状態の実験研究がされたのです。


 また、科学的心理学の創始者と言われているヴントは、一応、心理学としての体系化を行ったのですが、 その観察方法としての「内観法」に多くの難点がありました。
「内観法」は、自己のの精神活動を自分で知るため、最も的確であるように見えますが、主観性という問題から、 自分よがりになり的確性を失うという場合が多々見られるため、科学的ではない点が指摘されました。
 しかし、この方法は、その欠陥を補うことによって、今日の心理学においては必要な観察法の一部面となっています。
 この欠陥を補うということは、これを裏付けるための実験的方法を採用することであり、 「内観法」と実験的方法を併用して用いることです。

 直接経験を対象とする「内観法」に対する批判は、歴史的にみると種々な角度からされています。
その主なものとして、ノーベル賞受賞者である有名なパブロフpavlov,I.P.(1849〜1936)です。
精神性分泌の問題と取り組むことによって、意識主義心理学の欠点に気が付いたのです。
それは、動物実験において、動物の意識状態を知らなければならないという問題に直面したからです。
そこで、パブロフはデカルトの考えをヒントを得て、条件反射法を採用しましたが、 ワトソンWatson,J.B.(1878〜1958)も、同様な問題に直面しました。

 これらの点からみても、心理学という学問が科学的であるとしてなかなか承認し切れないのは、直接経験や意識を 対象として、これを「内観法」という主観的な方法によって研究しようとするからで、意識主義の心理学はその対象において 非常に誤りやすいからです。
 よって、科学の対象は、常に客観的に取り扱われるように持っていかなければならないという認識が必要となります。



                 −お問い合わせはこちらまで−

                         (気軽にご相談ください)


                          TOPページへ戻る








SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送